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Google Analytics 4（GA4）を使ってWebサイトを分析する際に、訪問ユーザーがサイト内のどこをどのくらい訪問しているのか、まずは大枠でざっくり把握したいと思ったことはないでしょうか。また、いきなりページ単位の細かい粒度ではなく、Webサイトのディレクトリ・カテゴリごとなど少し粗い粒度でサイト全体を俯瞰して見たい、というようなことはないでしょうか。
そのような場合に非常に便利なのがGA4のコンテンツグループ機能です。
今回は、GA4のコンテンツグループについて、Googleタグマネージャー（GTM）を使った設定方法について解説していきます。
コンテンツグループってなに？
コンテンツグループの概要
GA4のコンテンツグループとは、複数のページを任意のグループに集約し、指標をグループごとに計測・確認できる機能のことです。
例えば、アパレルECサイトであれば「メンズ・レディース・キッズ」のように上位カテゴリごとで分類したり、または少し粒度を細かくして「ジャケット・Tシャツ・シャツ・ボトムス」のように確認・計測したいグループを任意に作成して、そのパフォーマンスを確認することが出来る機能です。
コンテンツグループでは何ができる？
コンテンツグループを使えば、任意で作成したグループごとのパフォーマンスを確認することが出来ます。主だったところでは、グループ単位でのページビュー数やエンゲージメント率、ユーザーあたりのページビュー数やイベント数などを、レポート画面で確認することが可能です。
コンテンツグループはページの集合体であるため、ページ関連の指標を用いて分析することが出来ます。上記画像は、ページとスクリーンレポートでディメンションをコンテンツグループに切り替えた画面のスクリーンショットです。
このレポートをベースに「フィルタ機能」を用いてデータを絞り込んだり、「比較対象を追加」機能を用いてセグメントで比較するだけでも、様々な発見をすることができるようになります。
比較対象を追加機能を利用して、自然検索と有料検索の比較した場合のスクリーンショット。流入経路別でのコンテンツへのアクセス状況などを確認することが出来ます。
このようにコンテンツグループを設定しておけば、Webサイトを通常よりも少しだけマクロな視点を持って分析することができるようになります。
サイトタイプ別コンテンツグループ例
コンテンツグループ設定において重要となるのはグループをどう分類して、何を分析したいか、です。簡単ですが、各サイトタイプ別の設定例と得られる知見について表にまとめてみました。
設定の際の参考にしていただければ幸いです。
| サイト種別 | 設定例 | 分析例 |
|---|---|---|
| ECサイト | メインカテゴリ別（例：メンズ・レディス、家電・家具・雑貨など） 商品カテゴリ別（例：トップス・ジャケット・ボトムス、テーブル・ベッド・チェアなど） | どのカテゴリの商品詳細ページがよく訪問されているか どの商品カテゴリのカート投入率が高いか など |
| サービスサイト | 機能別（例：機能・料金・導入事例など） ユーザーフェーズ別（例：認知記事・比較検討記事・利用ヘルプなど） | 比較検討記事からリード獲得の資料請求への貢献率 機能別のどのグループがトライアル利用に繋がっているか など |
| コーポレートサイト | 部門別（例：IR情報・採用情報・事業内容など） ユーザー別（例：投資家向け・求職者向け・一般向けなど） | 投資家向けのコンテンツはPC（機関）・モバイル（個人）どちらからの訪問が多いか 採用情報グループではどのコンテンツの滞在時間が長くなっているか など |
今回は、この便利な機能であるコンテンツグループをGoogleタグマネージャーを用いて設定する方法について解説していきます。
GA4ではなくGTMでコンテンツグループを設定する理由
コンテンツグループを設定する方法は、GA4の管理画面で設定する方法と、GTMを用いて設定する方法の２つがあります。
GA4でコンテンツグループを設定するには、管理画面の「イベントの修正」機能を使います。
▼GA4｜イベントの修正画面
しかし、この方法だとグループごとに設定を繰り返す必要があるため、グループ数が多いと設定の手間が増えてしまいます。
さらに、「イベントの修正」機能で設定できる修正イベントの数には50個という上限があります。
そのため、グループ数が多くなりがちなWebサイトの場合、作成したグループのイベント設定の管理が煩雑になることに加え、設定上限の関係もあるためGA4での設定方法はあまり適した方法とは言えないでしょう。
それに対して、GTMを使えば、複数のグループを一度にまとめて設定・管理することができます。
GTMについての知識や正規表現など、設定に必要な前提要件はありますが、クリアできる状態であればGTMを使っての設定がおすすめです。
GTMでコンテンツグループを設定する
GTMでコンテンツグループを設定するには、「ページをグループ化するための変数の設定」と、「設定した変数をGA4へ送信するための設定」の2つのステップを踏む必要があります。
ユーザー定義変数「正規表現の表」を用いてグループを作成する
コンテンツグループを作成する場合、最もポピュラーな方法としては「ページのURL」パターンを元にページをグルーピングすることでしょう。
そのため、変数が特定の条件に合致した場合に、任意の値に変換する機能を持つGTMのユーザー定義変数「ルックアップテーブル」か「正規表現の表」のいずれかを使用することになります。
どちらの変数を用いても作成できますが、より柔軟な条件を指定できる「正規表現の表」が適しているため、今回は「正規表現の表」を用いた作成パターンで解説いたします。
①ユーザー定義変数を新規で作成する
まずは、新しいユーザー定義変数を作成しましょう。
GTMの変数画面を開き、ユーザー定義変数の「新規」ボタンをクリックします。
②変数タイプの一覧から「正規表現の表」を選択する
新規作成画面で真ん中のフォルダのようなアイコンをクリックすると、画面右側に変数選択のウィンドウが展開します。ウィンドウ内を少し下へスクロールして、ユーティリティ内にある「正規表現の表」をクリックします。
③入力変数にページURLを指定する変数を設定する
グルーピングを行う際の元となるページURLを指定する変数を選択します。
変数には、URL全体を指定する「Page URL」と、ディレクトリ配下を指定する「Page Path」の２つがあります。どちらを選択するかについては、計測対象となるWebサイトの構成に合わせて、最適な変数を選択します。
例えば、クロスドメインやサブドメインを含む計測をしている場合などは、ドメイン部分を含む「Page URL」を選択したほうが良いでしょう。
④デフォルト値 と Advanced Settings を設定する
作成するグルーピング条件に該当しない場合、特定の値を返す「デフォルト値」を設定します。
作成時に把握できていないURLパターンや、システム的に作成されるイレギュラーなURLなど、何らかの理由で条件に当てはまらない場合に、自動的にデフォルト値に入力した値を返すことができます。
計測開始後、それらイレギュラーパターンの検知にも使えますので、デフォルト値には何か分かりやすい値を入力しておくと良いでしょう。
また、正規表現の適用条件（Advanced Settings）から、「完全一致のみ」「キャプチャグループと置換機能を有効にする」のチェックを外しておきます。
⑤コンテンツグループの条件を入力していく
あとは、正規表現を用いてコンテンツグループの設定を進めていきます。
正規表現の表は、設定した上から順に指定した条件が適用されていきます。そのため、様々な条件に最も引っかかりやすいトップページなどは、条件の最後に設定することをオススメします。
下記キャプチャは、当社コーポレートサイトの設定例です。コラムページは、GA4とGTMのカテゴリを別々に、コラムトップが一つのグループとして計測されるように設定順を決めています。
正規表現の使い方については、別の記事で解説しています。使い慣れていない方は設定の際の参考にしてください。
Googleタグマネージャー(GTM)のトリガー作成に活用できる正規表現まとめ
https://sublimejp.com/column/gtm-regular-expression/
正規表現の設定が終われば、コンテンツグループのグルーピング作業は完了です。あとは、分かりやすい変数名をつけて保存すれば設定完了です。
GA4タグに作成したグループを設定する
作成したコンテンツグループを、GA4に送信する設定を行います。
GTMのタグメニューより、GA4のGoogleタグを選択してタグ設定画面を開きます。
設定内の「構成パラメータ」にある「パラメータを追加」をクリックし、新しいパラメータ設定のウィンドウを作成します。
そこに、構成パラメータ「content_group」と入力し、値の欄には先に作成した変数を設定すれば完了です。
あとは、タグを保存してGTMのバージョンを公開していただければ、公開と同時にコンテンツグループの計測が開始されます。
GA4で作成したコンテンツグループのデータを確認する
GTMで設定を公開したら、GA4にデータが蓄積するのを待ちましょう。
データがレポートに反映までには24～48時間ほどかかりますので、設定後2日ほど経過してから確認することをオススメします。
「ページとスクリーン」レポートで確認する
コンテンツグループのデータは、標準レポートの「ページとスクリーン」レポートで確認することができます。
レポートの左側のメニュー「ライフサイクル > エンゲージメント > ページとスクリーン」を開きます。（ライブラリ機能によって左側メニューの表示を変更している場合は、別のカテゴリ内に「ページとスクリーン」レポートが配置されています）
レポート画面が開いたら、ディメンションの切り替えプルダウンメニューを開いて「コンテンツグループ」を選択します。
コンテンツグループについてのレポートが表示されます。
例えば、左から5番目の指標「イベント数」にあるイベント選択のプルダウンで「session_start」を選択すると、どのコンテンツグループが訪問の入口として多く利用されているか、などを確認することができます。
「探索レポート」でコンテンツグループを使用する
探索レポートでもディメンションとしてコンテンツグループを利用することができます。
自由形式の探索レポートでは、追加のディメンションとして「ページ / スクリーン」内から選択が可能です。
また、ファネルデータ探索のレポートでは、コンテンツグループを用いてユーザーのファネルレポートを作成することができます。
ページパスやページロケーションで正規表現などを用いてページをグルーピングすることなく、簡単に任意のファネルレポートを作成することができるのは、コンテンツグループならではの長所と言えるでしょう。
コンバージョン地点にはキーイベントに設定しているイベント（Purchaseなど）を設定すると、簡単に以下のようなコンバージョンファネルレポートを作成することができます。
コンテンツグループに関するQ&A
コンテンツグループに関する疑問点をQ&A形式で簡単にまとめてみました。設定の際の参考にしていただけたら幸いです。
Q：コンテンツグループは何個まで設定できますか？
コンテンツグループの設定は、１つのプロパティにつき１つまでとなります。
使用できる既存のディメンション「content_group」は１つのみとなりますので、GA4のデフォルト機能として使用できるコンテンツグループは原則として１つまで、となります。
ただし、カスタムディメンションを使用して「content_group2」のように任意のディメンションを作成して別のコンテンツグループを追加設定することは可能です。 GA4がデフォルトで用意しているレポート等に始めから表示することは出来ませんが、カスタムディメンションに登録し、ライブラリ機能等を使用すれば、既存のレポートにも表示できるようになります。
Q：グループ名に日本語は使用できますか？
コンテンツグループに設定するグループ名には日本語の使用も可能です。
GA4では明確に使用できない文字の規定は書かれていませんが、基本的に私たちが普段使用している言語（日本語、英数字、記号など）は使用できると考えて差し支えありません。
Q：グループ名に登録できる文字数に上限はありますか？
公式ヘルプ内にコンテンツグループで使用できる文字数上限に関する記述は特に見当たりません。
ただし、GA4ではイベントパラメータ値の上限に100文字という制限があります。さすがに100文字を超えるケースはなかなかないと思いますが、長いグループ名を作成する場合は、100文字以内で収まるように設定することをオススメします。
まとめ
コンテンツグループは、通常のGA4では得ることのできない「Webサイト全体をざっくり俯瞰して把握する」という新たな視点を得ることができる非常に便利な機能です。
全体俯瞰というマクロな視点からより早く正確にサイト全体の動向を把握し、ページ単位へとミクロなより深い視点への分析が容易になることで、仮説や課題発見の精度もスピードも向上させることができるでしょう。
最初の設定こそちょっと手間がかかりますが、きっとそれ以上のメリットを得ることができるはずです。本記事を参考に、GA4にぜひ新たな視点を加えてみることをオススメします。
株式会社SublimeJPでは、GA4・Googleタグマネージャーの導入・設定・運用支援を行っております。何かお困りのことやご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
