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Googleタグマネージャーを複数設置する際の注意点

Googleタグマネージャーを複数設置する際の注意点

Googleタグマネージャーは、Webサイトの分析や広告効果測定など、様々な目的で利用される計測タグを一元管理・設定することができる無料のツールです。WebサイトにGoogleタグマネージャーのタグを設置するだけでカンタンに利用することが出来るため、一つのWebサイトに複数のGoogleタグマネージャーが設置されるケースも少なくありません。

しかし、複数のGoogleタグマネージャーを設置することによる問題やリスクについて検討されることは意外に少ないと感じています。そこで今回は、Googleタグマネージャーを複数設置することについて解説したいと思います。

Googleタグマネージャーを複数設置することのデメリット

Googleタグマネージャーを同一ページに複数設置すること自体、それだけで大きなリスクを伴うものではありません。しかし、各タグマネージャー内に設定されているタグやトリガーの内容、運用環境によっては、いくつかのリスクや問題点について検討する必要があります。

管理が煩雑になる

複数の広告代理店が関わっているWebサイトでは、各代理店が独自のGoogleタグマネージャーを設置し、様々なデータを収集していることがあります。しかし、Webサイトを運営する事業者が、どの代理店がどのようなデータを収集しているのか、全体像を把握できていないことも多く、これが問題となることがあります。

例えば、注文完了ページや会員登録完了ページで、ユーザーの個人情報を含むデータが、事業者の意図せず外部の広告プラットフォームなどに送信されてしまっていた、というようなケースが稀にあります。事業者がこの事実を認識できていなければ、個人情報保護法に違反するリスクが高まり、それが公になってしまうと企業イメージの低下や法的問題に発展する恐れが出てきてしまいます。

このようなリスクを回避するためには、あらかじめ事業者がGoogleタグマネージャーの運用状況を把握し、各タグが収集するデータの種類や送信先を明確にしておく必要があります。複数のGoogleタグマネージャーを同時に設置すると、各タグマネージャーを横断して運用管理する手間が増えることになり、管理が非常に煩雑になってしまいます。

思わぬ不具合が発生することがある

Googleタグマネージャーに設置された「タグ」は、ウェブサイト上で様々な役割を果たしています。例えば、ユーザーの行動を計測したり、広告効果を測定したり、A/Bテストを実施したりといったことが挙げられます。これらのタグは、JavaScriptというプログラミング言語で記述されており、Webブラウザ上で実行されることで、その機能を発揮します。

しかし、複数のGoogleタグマネージャーを一つのWebサイトに設置する場合、いくつかのリスクを事前に考慮しておく必要があります。まず、複数のタグマネージャーが同時に実行されることで、JavaScriptの処理が競合し、意図しない動作やエラーが発生する可能性があります。また、同じデータを複数のタグマネージャーで収集してしまうことで、データの整合性が失われ、分析が複雑になるという問題も考えられます。さらに、それらの問題が発生した場合、どのタグマネージャーが原因なのかを特定するのが難しく、問題解決に時間がかかってしまうという点も大きな課題になってきます。

複数のGoogleタグマネージャーを設置する時の注意点

このように、Googleタグマネージャーを複数設置することは、様々なリスクを伴うため、原則として避けたほうがよいでしょう。しかし、1つのWebサイトを複数の事業部で利用していたりするような場合では、やむを得ず複数の自社が管理するタグマネージャーを使用しなければならないケースがあります。そのような場合、以下の点に十分注意する必要があります。

すべてのGoogleタグマネージャーにログインできる権限を持つ

事業者のWebサイトに設置されるタグマネージャーは、いわば事業者の自社サイトのインフラの一部であり、タグマネージャー上で動作するタグは、自社サイトの挙動に直接影響を与えます。そのため、自社サイトに設置されているタグマネージャーの管理権は、そのサイトを運営する事業者に属していると考えるべきでしょう。

そのため、複数の外部の業者のタグマネージャーを設置や依頼する際には、必ず事業者側のアカウントへ「公開」権限を付与してもらうようにしましょう。「公開」権限は、タグマネージャーの最高権限であり、タグの追加・削除・変更など、タグマネージャーのあらゆる機能を自由に利用することが可能になります。これにより、万が一、自社サイトにおいておかしな挙動や許諾していないタグがGoogleタグマネージャー内で確認された場合、事業者側で即座に該当のタグを停止できるようになります。

上記のように、複数のGoogleタグマネージャーを運用する際は、事業者側が常に管理権を保持し、特に「公開」権限を付与してもらうことが重要です。 これにより、自社サイトの安全性を確保し、万が一の問題発生時にも迅速に対応することができるようになります。

Googleタグマネージャーにユーザーを追加する方法

Googleタグマネージャーにユーザーを追加する、またはユーザーの権限を変更する場合は、ページ上部にあるタブの「管理」メニューより行います。

  1. 画面上部のメニュータブより「管理」をクリックします
  2. 画面右側のコンテナの管理メニュー「ユーザー管理」をクリックします

 3. 画面右上の「+」マークをクリックします
  プルダウンメニューより「ユーザーを追加」をクリックします

     4. 追加するユーザーのメールアドレスを入力します
     5. コンテナの権限「公開」のチェックボックスにチェックを入れます
     6. 画面右上の「招待する」ボタンをクリックして終了です

    不要になったGoogleタグマネージャーは削除する

    Googleタグマネージャーは、Webサイトの運用において非常に便利なツールですが、ここまで述べてきたように放置しておくと思わぬトラブルを引き起こす可能性があります。にもかかわらず、過去に取引していた広告代理店が設置したタグが、不要なまま残っているケースがよく見られます。

    よくあるのは、代理店の切り替えや担当者の異動などで管理が行き届かず、後任者が削除してしまって思わぬトラブルを招くことは避けたいため、そのまま放置されてしまうというパターンです。

    このような事態を避けるためには、Webサイトの運用ルールとして、不要なGoogleタグマネージャーは速やかに削除するよう、関係者に周知徹底しておくことが重要です。もし、現在、不要なタグが設置されていることが判明し、自力で削除できない場合は、専門業者に依頼して調査・削除してもらうことをおすすめします。

    全体を統括できる担当者を立てる

    複数の事業やプロダクトを展開し、それぞれにGoogleタグマネージャーを導入している場合、特定のページで複数のタグマネージャーが混在することがあります。このような状況では、タグマネジメントの全体を統括管理できる専任者を設置しておくことが望ましいです。

    なぜなら、タグマネジメントにはマーケティング、システム、制作など、様々な部門との連携が不可欠であり、トラブル発生時には横断的な対応が必要となるためです。専任者がいることで、これらの連携を円滑にし、万が一のトラブルにも迅速に対応することができます。

    しかしながら、このような専門知識を持つ人材を確保することは、大きな企業のマーケティングチームなら何とかなっても、小規模な組織やマーケティングチームではなかなか容易ではありません。そのような場合は、思い切って外部の専門業者に管理を委託することも検討するのも一つの手です。専門業者は、タグマネジメントに関する深い知識と経験を持っているため、効率的な運用のサポートが期待できるでしょう。

    タグを適切な方法でサイトに実装する

    ごくまれなケースですが、Googleタグマネージャー内にカスタムHTMLタグとして、別のタグマネージャーのタグを設定している場合があります。この設定方法では、思わぬ動作エラーが発生する可能性があるなどのリスクを伴いますので推奨される方法ではありません。

    複数のGoogleタグマネージャーのタグをサイトに実装する場合は、それぞれのタグをGoogleが推奨する設定方法に従って設定する必要があります。タグの実装方法については、Googleタグマネージャーのタグを取得するページに記載されていますので、その方法に従って正しく設定するようにしましょう。

    ◆ Googleタグマネージャーのタグを取得する画面

    赤枠部分に推奨されるタグの実装方法が記載されていますので、そのままコピーして担当者へタグと一緒に共有すると良いでしょう。

    ◆ 複数のGoogleタグマネージャーのタグが実装されているページのソース画面

    Googleが推奨する設置箇所にそれぞれ正しく設置するようにしましょう。

    まとめ

    Googleタグマネージャーを複数設置することは、ページの読み込み速度低下、管理の煩雑化、思わぬ不具合の発生など、様々なリスクを伴います。そのため、原則として1つのWebサイトには1つのGoogleタグマネージャーを設置することが望ましいと言えるでしょう。

    どうしても複数のタグマネージャーを設置しなければならない場合は、以下の点に注意するようにしましょう。

    • すべてのGoogleタグマネージャーにログインできる権限を持つ
      Webサイトを運営する事業者が常に管理権を保持し、「公開」権限を付与してもらうようにすることが重要です。
    • 不要になったGoogleタグマネージャーは削除する
      Webサイトの運用ルールを定め、不要になったGoogleタグマネージャーが発生した場合は、直ちに削除するよう徹底しましょう。
    • 全体を統括できる担当者を立てる
      事業者がタグマネジメントの全体を統括管理するために、専任の担当者を設置するか、または外部の専門業者に委託することを検討するようにしましょう。

    Googleタグマネージャーは、Webサイトの運用を行うためには今や欠かせない便利なツールですが、その機能を最大限に活かすためには、適切な運用が不可欠です。この記事が、読者の皆様のGoogleタグマネージャーの運用に少しでもお役に立てれば幸いです。

    株式会社SublimeJPでは、Googleタグマネージャーの導入・設定・運用支援を行っております。もし、Googleタグマネージャーについて何かお困りのことやご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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    記事を書いた人

    岩城 祐介IWAKI YUSUKE

    アパレル店舗スタッフ、情報通信企業を経験した後、2016年に代表の平野と同じWebマーケティング支援会社へ入社。2019年にSublimeJPに参画。 GA4・タグマネ・EFOの実装支援・分析業務のほか、ビジネスに即したKGI・KPI設計と、レポーティング環境の構築支援を中心に活動中。 ジャンル問わずスポーツ観戦(テレビ)が好き。草野球で変化球を探索中。